2008年に第2番と第3番を録音している。
是非とも全集にまで持って行って欲しい演奏である。
アシュケナージ自身が1970年代にプレヴィンの指揮のもとで
プロコフィエフのピアノ協奏曲全集を録音しており、
長らく定番として鎮座している。
それ以来、数曲を録音するピアニストはいるのだが、
全集まで達成する人は少ない。
キーシンには是非その挑戦をしてもらいたいのだが。
さて、この第2番では、
第1楽章はアシュケナージとプレヴィンのときの演奏に近い。
小さな音でオケがメロディを奏で、やがてピアノが入り壮大な世界を描く。
ただ、ピアノ独奏のカデンツァに入ると
テンポが急に遅くなる。
キーシンの技術力からすれば難なく弾きこなせるはずなのに、
この落とし方は不可思議。
第2楽章の冒頭の疾走するフレーズでは、キーシンが速い小刻みな打鍵ながら、
クレッシェンド、デクレッシェンドを見事に弾き分け、
小さなうねりを自在に生み出している。高い技術力を感じる。
オケとの呼吸はぴったりと合っている。
第4楽章でもプロコフィエフの斬新な音楽とシンコペーションを、
ピアノとオケが息のあった演奏で見事に再現している。
この曲をよく知っているアシュケナージだからであろう、
この部分のオケの鳴らし方が抜群にうまい。
ここだけでもプレヴィン盤を凌駕している。
この録音はアメリカのグラミー賞でベストソリスト賞に輝いた名盤であるが、
オケを合わせた総合力でもこの曲のベストの録音であろう。
プロコフィエフの第2番の録音では真っ先に聴きたい1枚である。
CDジャケットのキーシンの髪型には、少し物言いたい気もするが。
オススメ度:★★★★
ピアノ:エフゲニー・キーシン
指揮:ヴラディーミル・アシュケナージ
フィルハーモニア管弦楽団
録音:2008年
Sponsored Link
【タワレコ】プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番&第3番
関連記事:
ショパン ピアノ協奏曲第1番 キーシン/キタエンコ/モスクワフィル(1984年)
ショパン ピアノ協奏曲第2番 キーシン/キタエンコ/モスクワフィル(1984年)
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 キーシン/ゲルギエフ/サンクトペテルブルグ響(1987年)
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲 キーシン/スピヴァコフ/モスクワヴィルトゥオージ(1988年)
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲 キーシン/スピヴァコフ/サンクトペテルブルグ室内管(1988年)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 キーシン/ゲルギエフ/ロンドン響(1988年)
ハイドン ピアノ協奏曲ニ長調XVIII11 キーシン/スピヴァコフ/モスクワヴィルトゥオージ(1988年)
モーツァルト ピアノ協奏曲第12番K.414 キーシン/スピヴァコフ/モスクワヴィルトゥオージ(1988年)
モーツァルト ピアノ協奏曲第20番K.466 キーシン/スピヴァコフ/モスクワヴィルトゥオージ(1992年)
モーツァルト ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K.382 キーシン/スピヴァコフ/モスクワヴィルトゥオージ(1992年)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 キーシン/小澤/ボストン響(1993年)
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番 キーシン/レヴァイン/フィルハーモニア管(1997年)
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 キーシン/レヴァイン/フィルハーモニア管(1997年)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 キーシン/アシュケナージ/フィルハーモニア管(2008年)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 キーシン/アシュケナージ/フィルハーモニア管(2008年)
ショパン ピアノ協奏曲第1番 キーシン/アシュケナージ/シドニー響(2011年)
※クリックするとタグ付けられた記事が表示されます
このブログで紹介した録音、演奏が行われた場所をGoogle Map上で表示されます。地図上のアイコンにリンクを貼っているので、録音場所からブログ記事を検索することもできます。
- カテゴリ「プロコフィエフ(1891-1953)」の他の記事:
-
-