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マリス・ヤンソンス グレート・レコーディングズ(2003-2009年)

このアルバムの3つのポイント
  • マリス・ヤンソンス追悼記念でリリースされたソニー録音のCD BOX

  • ため息が出るほど美しい、バイエルン放送響との絶頂

  • 気迫こもるシベリウス、官能のシェーンベルク、美しいヴァーグナー、意外なハイドンなど、多彩なライヴ演奏を収録



指揮者マリス・ヤンソンスが2019年11月30日に亡くなって、早3ヶ月。このブログでもマリス・ヤンソンスの演奏や録音は数多く取り上げており、その音楽の魅力を私なりの言葉で伝えてきた。
このブログのマリス・ヤンソンスの記事一覧

ただ、逝去されて最初の1ヶ月半はブログを書くことも止まってしまうほど、かなりショックを受けていた。また書き始めるようになったのもヤンソンスのおかげである。これから新しい演奏が聴けないなら、これまでのまだ聴いていない演奏を聴いて紹介していくのが自分なりの使命なのではと思い始めたのだ。

さて、今回紹介するのはソニークラシカルから2020年1月31日にリリースされたCD BOX。ヤンソンスの追悼記念としての発売となったもので、内容としてはこれまで彼がソニークラシカルに遺したレコーディングをBOXとして再リリーしたものである。

7枚の内訳は以下のとおり。全てマリス・ヤンソンス指揮、オーケストラはバイエルン放送交響楽団である。

【CD1】
1.バルトーク作曲 管弦楽のための協奏曲
2.バルトーク作曲 「中国の不思議な役人」組曲
3.ラヴェル作曲 バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
2004年10月7, 8日, ヘラクレス・ザール(1, 3)
2007年4月26, 27日, ヘラクレス・ザール(2)

【CD2】
ハイドン作曲
1. 交響曲第104番 ニ長調 「ロンドン」Hob I:104
2. 協奏交響曲 変ロ長調 Hob I:105
3. 交響曲第100番 ト長調 「軍隊」Hob I:100
2007年9月28日, フィルハーモニー・ガスタイク(1)
2003年10月30日, ヘラクレス・ザール(2, 3)

【CD3】
1. シベリウス作曲 交響曲第1番 ニ短調 Op.39
2. ブリテン作曲 パーセルの主題による変奏曲とフーガ (青少年のための管弦楽入門) Op.34
3. ウェーベルン作曲 牧歌「夏風のなかで」
2004年4月22-23日, ヘラクレス・ザール(1)
2003年10月22-24日, フィルハーモニー・ガスタイク(2)
2004年6月23-25日, フィルハーモニー・ガスタイク(3)

【CD4】
1. ストラヴィンスキー作曲 「火の鳥」組曲 (1919年版)
2. シチェドリン作曲 ピアノと管弦楽のための協奏曲 第5番
 ピアノ独奏:デニス・マツエフ
2004年12月9, 10日, フィルハーモニー・ガスタイク

【CD5】
チャイコフスキー作曲
1. ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23
 ピアノ独奏:イェフィム・ブロンフマン
2. 交響曲第4番 へ短調 Op.36
2005年10月13, 14日, ヘラクレス・ザール(1)
2005年11月10, 11日, ヘラクレス・ザール(2)

【CD6】
1. チャイコフスキー作曲 交響曲第6番 ロ短調 Op.74
2. シェーンベルク作曲 「浄められた夜」 Op.4 (弦楽合奏版)
2004年6月23-25日, フィルハーモニー・ガスタイク

【CD7】
ヴァーグナー作曲
1. タンホイザー 序曲
2. タンホイザー バッカナーレ
3. ローエングリン 第1幕への前奏曲
4. ローエングリン 第3幕への前奏曲
5. ヴァルキューレ ヴァルキューレの騎行
6. 神々の黄昏 ジークフリートのラインへの旅
7. 神々の黄昏 ジークフリートの葬送行進曲
2009年3月16日, クンスト&クルトゥルツェントルム

最近ではバイエルン放送響は自主レーベルBR Klassikからライヴ演奏のレコーディングをリリースすることがほとんどなので、この録音はそれ以前の2003〜2009年のもの。ヤンソンスはどちらかというと晩成の指揮者と言えるのだが、1990年代から世界的な名声が高まり、2000年代前半からは2001年にベルリンフィルのヨーロッパコンサートの指揮、2003年にバイエルン放送響の首席指揮者に就任、2004年にコンセルトヘボウ管の首席指揮者に就任、2006年にウィーンフィルのニューイヤーコンサートの指揮など、まさに全盛期を迎えた時期であった。その頃のライヴ演奏をまとめて聴くことができるのは嬉しい。しかもオーケストラは、最晩年まで良好な関係を築いたバイエルン放送響である。

ヴァーグナーについて
CDが7枚もあるので、どれから聴こうか悩むかもしれない。私はCD7のヴァーグナーから聴き、バイエルン放送響らしい透き通った響きで官能的な美しさをまず堪能した。

ヤンソンスは決して「ヴァーグナー指揮者」ではない。(私が調べた限りでは)楽劇を指揮した録音も見当たらないし、バイロイト音楽祭を指揮したわけでもない。ヤンソンスが活躍したのも歌劇場よりももっぱらオーケストラであった。それなのにヤンソンスのヴァーグナーには唯一無二の存在感がある。「ゾクゾク」するわけでも、「官能的」というわけでもない。ただとろけるように美しいのだ。このCDで聴くヴァーグナーの楽劇の作品たちも、一糸乱れないアンサンブルでとてもまろやか。コンセルトヘボウ管との「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死も、他では味わえないまろやかさと美しさに満ちていた。

シベリウスとシェーンベルクについて
ただ、このBOXでの一番の聴きどころはCD3のシベリウスの交響曲第1番と、CD6のシェーンベルクの「浄められた夜」の双璧だろう。シベリウスはいつものヤンソンスと違った印象を受ける。気迫がこもっていて、ぐいぐいと心の琴線に触れる。その一方で、シェーンベルクは美し「すぎる」。これを聴いているとある指揮者を思い出した。ヘルベルト・フォン・カラヤンである。カラヤンが指揮したシェーンベルクの「浄夜」もとにかく美しかったが、このヤンソンスとバイエルン放送響の演奏は音質が良いこともあって、その美しさに磨きがかかっている。そういえば、ヤンソンスは若い頃にカラヤンに師事したこともあったんだな、とこの演奏の共通項を通じて思い出した。

ハイドンについて
意外な収録曲としては、CD2のハイドン。2001年のベルリンフィルのヨーロッパコンサートでもハイドンの交響曲第94番「驚愕」を演奏していたヤンソンスでそのDVDは観ていたが、CDのレコーディングで聴いたのは今回が初めて。現代的なスマートな演奏である。

バルトークについて
他にも、バルトークの管弦楽のための協奏曲はヤンソンスの十八番と言える作品で、コンセルトヘボウ管の首席指揮者を勇退する際のコンサートでもこの曲を演奏していた。

また、チャイコフスキーは交響曲やピアノ協奏曲でも味わい深いし、ストラヴィンスキーの「火の鳥」はいかにもヤンソンスとバイエルン放送響らしい透き通った響きが良い。ラヴェルの「ダフニスとクロエ」の第2組曲でも、オーケストラの精緻なアンサンブルがスケール感が見事。

これまで知らなかったようなヤンソンスの魅力を発見できる、貴重なライヴ録音である。

オススメ度:★★★★
指揮:マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団

MarissJansons_GreatRecordings.jpeg

受賞


新譜のため未定。

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試聴


特になし。

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