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バーンスタイン 交響曲第2番「不安の時代」 ツィメルマン/ラトル/ベルリンフィル(2018年)

このアルバムの3つのポイント
  • バーンスタイン生誕100年の「約束」の演奏

  • 集中力みなぎるツィメルマンの渾身のピアノ

  • ラトルがベルリンフィルの音楽監督として最後の公演シリーズでのライブ録音



不安の時代。

どんな時代も、人々は自分が生きている今に不安を感じてきたものだと思うが、イギリス出身の詩人W. H. オーデンが書いて1947年に発表された長編詩「不安の時代」は、第二次世界大戦の不安定な時代の中、産業化が進んでいく世界で実体や個性を模索しようとする詩。レナード・バーンスタインこの詩にインスパイアされて作曲したのが、ピアノと管弦楽のための交響曲第2番「不安の時代」。交響曲というよりもピアノ協奏曲のテイストが強い作品である。

今年2018年はバーンスタインの生誕100年に当たり、世界各地のコンサートでもバーンスタインが積極的に取り上げられている。ピアニストのクリスティアン・ツィメルマンと指揮者サー・サイモン・ラトルのコンビも2017年夏から2018年末までこの「不安の時代」を15都市で演奏する予定とのことで、2018年9月のロンドン交響楽団の来日公演でも演奏される。9月23日〜29日の公演のうち、プログラムAとプログラムEに「不安の時代」が含まれている。

ツィメルマンは1986年にユニテル・レーベルで収録された映像作品でも、バーンスタインが指揮した交響曲第2番「不安の時代」に出演しており、バーンスタインから「私が100歳になったときにも『不安の時代』を演奏しよう」と頼まれたそうで、バーンスタインが亡くなっても、「生誕」100年ということで演奏を行なっている。

今回リリースされた「不安の時代」のレコーディングは、2018年6月のベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音が収録されている。私も事前に購入予約をしておき、手元に届いたのが8月27日。ライヴ収録されてからたった2ヶ月後にリリースという急ピッチでのスケジュールとなったのだが、その理由としてはバーンスタインの生誕100年の2018年内に出したい、とか、ラトル指揮ロンドン響の来日公演(9月)前に出したい、とか色々と推定されるのだが、演奏も生ものなので、演奏されてからリリースされるまでにこう早いと嬉しい。

このレコーディングではピアニストがツィメルマン、そしてパートナーがサー・サイモン・ラトル指揮のベルリンフィルというのも理想的だろう。2018年6月19、20日の定期公演でのマーラーの交響曲第6番「悲劇的」を最後に、16年間務めた首席指揮者・芸術監督を辞したラトルにとっては、その1週前の公演で演奏したこの「不安の時代」を引っ提げて、新たに音楽監督を務めているロンドン響(2017年9月〜から音楽監督就任)との来日公演を行う、というのが、1時代の終わりと新たな時代の始まりをつなげているような気がする。また、偶然なのか意図的なのか不明だが、ベルリンフィルの最後の公演シリーズで演奏されたのが「不安の時代」やら「悲劇的」やらで、明るい幕閉じではなかった気がする。

「不安の時代」は6楽章から構成され、第1楽章〜3楽章が第1部。第4楽章〜6楽章が第2部という成り立ちだが、このレコーディングの収録されているのは、第2楽章と第3楽章の変奏曲が細切れにトラックに収められており、さらに最初のトラックに作曲したバーンスタインが「不安の時代」を語るインタビューも含まれているので、19のトラックになっている。

繰り返し聴いているうちにこの曲の魅力にハマっていったが、第1楽章「プロローグ」から第2楽章「7つの時代」へと続く不安を暗示させる不気味なフレーズや、第5楽章のおどけた風の「仮面舞踏会」、そして第6楽章「エピローグ」ではサンバのような陽気な音楽で、バーンスタインならではの面白さが詰まっている。ツィメルマンの集中力みなぎるピアノも素晴らしいし、ラトルとベルリンフィルの躍動感ある演奏も完璧である。

1つだけ欲を言えば、もう少し音質がクリアだったらもっと感動的に聴こえただろう。

オススメ度:★★★★
ピアノ:クリスティアン・ツィメルマン
指揮:サー・サイモン・ラトル
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2018年6月13-16日, ベルリン・フィルハーモニー(ライヴ)

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試聴


iTunesで試聴可能。また、ドイツ・グラモフォンの公式YouTubeベルリンフィルの公式YouTubeで動画も試聴可能。

受賞


新譜のため未定。

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